【今の私ができるまで】第5話 運を動かす。

「私、何のために生きているんだろう。」

貧血気味で弱々しく、毎日会社に行った。

 

会社に行っても答えなんて見つからなかった。

 

友達は居たし、会社の同僚とも仲は良かった。

 

今から思えば、私は自分の殻に閉じこもっていただけだったのだけれど、

当時は全く気がつかなかった。

私は狭い狭い世界の中で苦しんでいた。

自分の何かを変えたいと思いつつも、どこか一歩踏み出せなかった。

死にたいと思っても、自殺する勇気なんてなかった。

いつも何かのせいにしていた。

仕事が忙しいせい。

会社のせい。

恋愛のせい。

自分がブサイクなせい。

そんな自分にもう、うんざりだった。

 

それでも救いだったのは、私が「素直」だったこと。

友人に「自分に自信がない。」と打ち明けると、ウォーキングを勧められた。

家でクヨクヨ悩んでいるのが嫌で、アドバイス通り毎晩2時間のウォーキングをした。

とにかく、家に一人でいる時間が嫌だった。

ネットで調べて、近所のダンススクールに通い社交ダンスを習った。

会社の先輩に誘われ、週に一度テニススクールに通い始めた。

ダイエットのためにパーソナルトレーニングにも行った。

少しづつ自分を変えるために、私は行動し始めた。

「今まで自分がやったことない事をやろう。

そして少しでもスタイルに自信を持てるように努力しよう。」

フルートでも、音楽でも、絵画でもなく、とにかく運動することにした。

 

1ヶ月もするとウォーキングの効果はかなり現れた。

パーソナルトレーニングと合わせて行ったため、体に軸ができ、正しいフォームで歩いていたからだ。

 

単純ではあるが、確実に体が軽くなった。

 

友人に見せられた宮古島の写真。

それを見て、私も行こう!と長期休暇に一人で宮古島へ旅に出た。

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「せっかく一人なんだから、なんでも楽しんだほうが得だわ♪」

やっとそう思えるようになった。

 

運動をすることによって、うつ状態だった私は自らの運を動かすことができたのだ。

 

親身になって話を聞いてくれた友人。

ぽんっと背中を押してもらったことが、とてもありがたかった。

 

 

「行きたいのなら行ってくれば!お金なんてなんとかなるよ!」

単純な私は、今まで行きたくてたまらなかったフランス、モナコ、ドバイに一人旅に行くことにした。

もちろんカメラを持って。

 

旅行のプランを練っている時が一番ワクワクした。

コートダジュールに行こう!

モナコのホテルでお茶しよう!

憧れのロワールの古城巡りをしに行こう!

ルーヴル美術館で本物のラファエロとダヴィンチを見よう!

どうせなら帰りにドバイで遊んでから帰ろう!

やりたいことが山ほどあることに気がついた。

たくさん写真を撮りたい!!

私はカメラを手に、フランスに飛んだ。

 

 

エミレーツ航空に乗りドバイ経由でニースについた。

ニースを拠点に、私は一人地図を見ながらバスでエズやモナコを訪れた。

道に迷ったら、その場で話しかけて道を尋ねた。

TGVからの車窓の景色はぶどう畑や満開のミモザ。

ロワールの古城は想像以上に美しかった。

 

フランス一人旅

ロワールの古城巡りは現地の観光案内所の英語ツアーに参加

 

 

 

初めて訪れたアラブの国。ドバイ。

アラブ、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、アメリカ・・・

様々な人種が入り乱れる空港に驚いた。

砂漠の中にそびえ立つ高層ビル。

何もかもが、今まで見てきたものとスケールが違った。

 

 

フランスの後ドバイ一人旅

フランスの後、ドバイで砂漠ドライブツアーに参加。乗ったのはHummer!

 

この旅は楽しかったなんてもんじゃない!

とても新鮮だった。

「私はなんてちっぽけなことで悩んでいたんだろう。」

「世界はこんなにも広いんだ。」

 

当たり前のことに、やっと気がついた。

 

「私はやりたいことをやればいいんだ。」

少しづつそう思えるようになっていった。

 

「私はやりたいようにやっていい。

行きたいところに行っていい。

今の私にできることは何でもやっていい。」

誰にも遠慮せず、自分がやりたいと思うこと、楽しいと思うことを

我慢なんてしなくてもいいんだ。

岡山の友達の家のカピバラさん

岡山の友達の家のカピバラさんに会いに行った

 

会いたいと思う友達には、積極的に会いに行った。

ヘトヘトになるまで楽しんだ。

 

ああ!一人でもなんでも楽しめるんだ!

 

そう思えるようになった頃、私は一人の男性とお付き合いしていた。

その半年後、私は彼と結婚した。

 

 

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